株式会社をはじめとする法人が自己破産する場合はすべて破産管財人が選任される破産管財事件になり、破産管財人として弁護士が選任されます。法人代表者のみの自己破産申立の場合も破産管財事件になるのが原則です。破産管財人が選任される場合は、破産申立弁護士費用とは別に破産予納金が必要となり、最低金額が20万円となっています。
個人事業主で現在も個人事業を営んでいる場合は、原則として破産管財事件となります。廃業して6か月が経過している場合は、めぼしい財産がなければ同時廃止事件になります。ただ、廃業から6か月を経過していなくても、負債額、事業の内容、営業していた時期及び期間などにより、同時廃止事件として手続が進む場合もありますが、これは例外的なものになります。また、個人事業主でも事業を継続しながらの破産申立は基本的にはできません。
大阪地方裁判所の運用では、会社員など個人事業主ではない個人の場合でも50万円を超える現預金を申立時に所持している場合は、破産管財事件になります。但し、弁護士費用、病院代、子供の学校の授業料などどうしても必要な支出については有用の資として認められることがあり、有用の資に充てた結果、開始決定時の現預金が50万円以下となる場合は、破産管財事件とはなりません。また、ボーナスが出る予定があり、出れば現預金が50万円を超えてしまような場合は、ボーナスが支給されるまでに申立をしたほうが債務者の負担が少なくて済みます。
破産管財事件の場合は、破産者及び会社代表者は破産管財人との打ち合わせや債権者集会に出頭する必要があります。
破産管財事件になった場合でも換価すべき財産がなく、債権者に対する配当がなければ、異時廃止といって速やかに終結しますが、そうでない場合は、売掛金の回収、不動産や自動車などの財産の換価、債権者への配当手続などで終結までに6か月以上はかかることになります。